トップページ > 薄膜応用製品情報 > PBII&D DLCコーティング
PBII&D法によるDLCコーティング
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)サンプル
プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)について
 プラズマイオン注入・成膜装置(Plasma Based Ion Implantation & Deposition:PBII&D)とは弊社と産業技術総合研究所関西センター殿と共同で開発し、特許を取得(特許第3555928号)した"日本発"のまったく新しいプラズマイオン注入技術です。
 従来のプラズマイオン注入技術の欠点であったプラズマ密度の不均一性と生産性の問題を解消するため、プラズマ生成用の高周波電源とイオン注入用の負の高電圧パルスを一つの電極からワークに印加し、プラズマ生成・注入成膜を行える技術です。
 RFアンテナやイオン源を必要としない自己プラズマ方式の為、ワークを回転させることなく、従来とは比べ物にならない程均一に全方位に渡りイオン注入や成膜処理が可能になりました。真空装置内にはワーク以外は何も無いため、イオン注入処理や成膜の範囲が広がり大面積物の処理 も実現しました。
プラズマイオン注入法原理図
プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)の特徴
☆大型ワークへのDLCコーティングが実現
プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)の特徴の一つである、自己放電プラズマ
この技術により、ワーク表面積が大型化してもワーク自身をプラズマ発生源として用いる為に斑が少なく均一にダイヤモンドライクカーボン(DLC)のコーティングを実現しました
☆室温からの成膜を実現
プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)では、パルス電源をプラズマ発生用電源として使用しています
この為ワークに印加される電気量が少なくなり、成膜中の温度上昇を抑えることが可能になりました
熱に弱い、樹脂やゴム、また低融点金属のアルミニウムや、温度上昇によってデガスが発生するような合金であっても成膜処理が行えます
☆三次元・複雑形状物への処理を容易に実現
プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)では自己放電の為に、ワーク形状に沿った形でプラズマ生成が行なえます
凹凸があるような形状や立体物であっても自転公転機構を使うことなく三次元に成膜が可能になりました
PBII&D DLC膜の適用例
・シリコンウェハ研磨用ラッピングキャリア
ウェハキャリアはSiウェハを研磨する工程で必ず用いられる、ウェハの厚みや面粗度を決定する重要な治具です。従来はブルースチールやステンレスが使用されていましたが、ウェハへの金属コンタミの混入や耐久性の観点からPBII&D DLCが採用されました
PBII&D DLCなら、大口径のウェハキャリアでも成膜が可能で、従来法では処理出来なかったワークへの処理が可能になりました
 *本製品は、滑ン田製作所殿、株注關サ作所殿、弊社の共同開発商品です(特許取得済み)
・流体ポンプ用スリーブ、インペラー等
液体や粘体を扱うポンプでは場合により空運転でポンプが回ってしまうことがあります
作業者のミス等による事が殆どですが、この場合高い確立でポンプへ負荷が掛かり内部のスリーブやインペラー等が摩擦によって破損してしまいます。そこでPBII&D DLCコーティングを施す事で低摩擦を実現でき、摩擦係数を未処理と比べ1/10〜1/20程度に抑えることで空運転が起きても内部部品の破損を防ぎポンプの故障を最小限に抑えることを実現しました
・食品切断用刃物各種
食品を扱う刃物は成分に含まれる油や刃先の齧りなどにより短寿命であり、製品の見た目にも大きな影響を及ぼします
そこでPBII&D DLCコーティングを刃物に施すことで、低い摩擦係数の為切断時の食品の刃面への付着を最小限に押さえ、見た目にも美しい食品の切断を実現しました
また脱メッキの置き換えとしても採用が進み、現在ではパン、生肉、魚介類等の生産ラインにおいて多大な効果を発揮しています
PBII&D DLC膜の評価結果
Pin-on-disk試験機による摩擦係数測定
PBII&D DLCの耐磨耗特性 試験片材質:A5052
相手材:SUJ2
荷重:0.5[N]
摺動速度:20rpm
摺動回数:10000回超
未処理品、窒素注入を施した試験片では約100回前後で試験片が破損しました。 しかしながらPBII&D DLC処理を施した試験片は10000回超でも大きく摩擦係数は変化せず低摩擦係数を維持できます。
Pin-on-disk試験機による摩擦係数測定
PBII&D DLCのゴムの摩擦係数測定 試験片材質:FKM,FKL,EPDM,Si
相手材:SUS304
摩擦距離:15mm
摩擦速度:600mm/min
*5回往復後のデータを使用
PBII&D DLCを施すことでいずれの材質においても摩擦係数は劇的に低減しました。 特にSiゴム以外では10分1以下に低減しました。密着強度評価においてもいずれの材質も膜剥離を起しませんでした。
スクラッチ試験機によるA5052基材の密着力評価
PBII&D DLCのA5052基材での密着力評価 A5052
相手材:SUS304
コーン材質:ダイヤモンド
先端半径:0.2mm
下図の波形より約20[N]前後においてLcが検出されましたが、スクラッチ試験終端部の顕微鏡写真においては基材変形は確認されましたが膜破壊は発生していませんでした。Lc値は試験時の基材変形においても検出されるため、必ず顕微鏡での確認が必要となります。 膜の剥離時にはスクラッチ痕の周辺部において貝殻状の剥離を起しますが、今回の測定では膜の剥離ではなく基材の変質に伴 うLc値の検出と考えれれます。PBII&D DLCは厚膜、A5052においても十分な密着強度を有することが分かります。